30歳を過ぎてから読む本

昨日はユリ君から仕事の休み時間になってもメッセージも来ず、”あのケーキの評判はいったいどうなのかな?”と思っていたのですが。5時半過ぎに家に帰ってきたユリ君。ケーキを入れた大きな盤ボールの箱を2つ持っています。1つ開けるとキャロットケーキが2切れ。”お。ちゃんと残してくれたんだな。”って思ってティラミスケーキの箱を開けようとすると、”そっちは空だよ。”との返答が、、、、。”どっちも一切れずつ残してほしいって言ったじゃん!”って言うと、”あ。ごめん。気が付いた時にはもうなくなってたよ。”だそう。作ったほうからすればなくなってしまったのは嬉しいのですが、あのクリームのおいしいティラミスケーキは食べたかったなっていうのが本音。

2切れのキャロットケーキを味わうとするか、っと思っていたら。”2切れあるから。ひとり1切ずつ食べようね。ティラミスケーキしか食べてないから、こっちも楽しみ。”と僕の考えをわかったかのような会話をしてきます。ユリ君の誕生日ケーキなのでしょうがないですよね。夕飯の後に2人で食べました。このキャロットケーキ、おいしんだけど僕がいつも作るレシピのほうがもっとおいしいなっていうのが正直な感想でした。ちょっと、ケーキの生地が重いかなと言うのがマイナス点かな。

けど、久しぶりのケーキ作りは楽しかったのでまた作ろうと思います。

色々な事もそうだけれど、年月を置いてふとまたそのドアを開けてみると驚くことってないですか?

僕はここに引っ越してきたのが去年の夏。ユリ君がすぐに引っ越しがあるかもしれないからと言うので引っ越しの荷物の段ボールはそのままに、あるものだけで今の生活を送っているんですよね。その中で、”生活で必要なものって意外とないんだね。”って思っていたんですが。数日前にケーキ作りのためにそのうちの箱を1つ開けたんですよね。ケーキのレシピを探すために。そしたら、ロンドンの生活で使っていた食器や、衣類が一緒に入っていて。一気に、その時の思い出が蘇ってきてそれだけで幸せな気持ちになってしまった単純な僕。

僕は結構、淡白なところがあってドイツに住んでからまだ、5か月ぐらいですがイギリスの生活を懐かしむことなんて一切ないんですよね。イギリスの生活がどのようなものだったかも遠い昔の様に感じられるし、全く違う世界の出来事の様に感じるんです。もしかしたら、これは僕の作り上げている一緒の防衛のメカニズムなのかもしれませんが。ほら、新しい生活になると何かと不便だし、イギリスはこんな感じじゃなかった、って比べたり、その場所にいる事、そんな自分を不憫に思ったりしてしまうじゃないですか。だから、そうならないように脳が昔の記憶を思いっきり遮断している感じかな。だから普段の生活で日本の生活もイギリスの生活も驚くほど思い出さないんですよね。あくまでも”今”を生きている。これって面白いなって自分のことながら思います。

けどね、こんな風に時にイギリスの生活が顔を出す時があって、”あー。こんな生活してたな。”って思えたり、自分のものが新しい生活にあるというのも素敵だなって。ほら、今の生活はユリの物の中で生活してそのとこどころに僕のものが点在している感じ。それが沢山の食器が出てくると、それが食卓に並んだりして今までの食事の景色が変わることに感動するんですよね。言葉に表すのが難しいけど、理解してもらえるかな?

年月を経て、自分が色々な経験をして思い返したり読み返したりするものに新たな発見をすることだってありますよね。

先日読み終えた江國香織さんの東京タワーと言う本。

この本が出された年は2001年12月。僕は高校の時からこの作家の本が好きで読んでいたんだけど、この本の内容はどうも自分の中にしっくりとこなかったんですよね。大学の男子生徒二人の目線で年上の女性との恋を綴った本なんですね。2001年に僕は20歳でこの2人の主人公とはほとんど同い年なのに、共感する部分が少なくて、この本は僕に合わなかったなって思って終わったんです。僕は同性が好きだから年上の女性を思いこの2人には同化できないのかなんて適当な理由を考えて本棚の奥にしまい込んでいたんです。

それから時は流れて2018年。江國香織さんの本はワインと一緒で熟成をすると言う事に気が付いて、この本をもう一度読もうと思ったんです。あれから17年の月日が流れていたんですね。すると僕の年がその男子学生の愛情の相手となった年上の2人の年齢と一致していることに気が付いたんです。

そして読み込んでいくうちに感じたことが。これは確かに10代の終わりや20代になりたての学生の目線から、心情から書かれてはいるのだけれども、ここで一番の感情を書き上げたいのはその恋愛対象のこの2人の女性だという事。

大学生の時ってまだ人生は素晴らしいものだって思っている時でしょ?10年後、20年後には家庭をもって子供もいて、週末には家族団らんで、時には友達も自分の建てたマイホームに遊びに来て、健康な両親と年に数回あって生きていくみたいな。

けど、現実には年を重ねていくにしたがって人生とは何て難しくて不平等で、理不尽なんだろうって思うことが増えて。それでも、それを気にせずに歩いていく、または目をつぶって前に進む。気が付くと周りから与えられた既成概念にとらわれてその中で自分自身を失って、自分の価値観が奪われてしまう。そんな大人の世界。

その中にあって、この女性2人は不思議な生き物として、自分の感情のままにそして、思ったままに生きている芯の強さと、野蛮さがよく書かれてるんですよね。二人の性格的には違った女性なんだけど、その根本的なものは一緒なのかなと思ってしまいました。

この本は30を過ぎてから読む本だなって、思いました。

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