もののけ姫と歩く

阿蘇では初雪が降ったという事で、日本も冬が本格的に始まっているようですね。風邪などひかないように気を付けてくださいね。

ドイツ北西部も不思議な天気です。このあたりはオランダのように海面部よりも低いところもあり、雪が降るという事はあまりないそうなのですが、冬の天気の心模様はかなり身勝手。昨日もユリ君と走りに出かけたのですが、家を出たときには太陽が顔を出し、大きな虹も見えた秋の穏やかな天気。そして走って15分ほどすると突然に雨雲が空を覆って冷たい雨が降り始めました。体温が高いせいか、ユリ君の顔は冷たい前を受けて赤ら顔に。あまりにもかわいそうで途中で引き返すことに。帰り着くころにはまた晴れ間がのぞいていました。本当にあまのじゃくな冬のお天気です。

そんな日は家の中でぬくぬくとしていたが一番ですよね。夕飯を食べて、DVDを見ることに。今回のチョイスはジブリ作品のもののけ姫。僕が高校生の時に映画館で見た作品で、その迫力に見た後は言葉が出てこなかった覚えがあります。

なぜ、もののけ姫にしたかと言うと今回の日本での旅で行った和歌山県の熊野古道がこのもののけ姫の世界観に似ているなと思ったためなんです。山深い土地の神聖なる道、熊野古道。そんな旅の思い出をユリ君が思い出してくれるのではないかと思って。ドイツ語吹替の日本語字幕と言う少し不思議な感じで観賞会となりました。

ね。おっことぬしや、こだま、モロが生きていそうな森でしょ。ちなみに熊野古道はこの写真の真ん中の木の根の階段になっているところです。

熊野古道は和歌山県にあり、奄美大島から飛行機で関西国際空港に着いた僕たちはJRの特急に乗って紀伊田辺駅へ。ここで一泊して次の日の朝早いバスで熊野古道の中辺路である滝尻王子へと向かいました。今日は残念ながら雨の予報で、大粒の前でなく小雨だったので難を逃れましたが、雨のおかげで靄が立ち込めて幻想的な雰囲気を楽しめました。

熊野古道は2004年にユネスコの世界遺産に登録されて、日本でもそして特に海外でも注目を集めました。今回は平日に2日間、熊野古道歩いたのですが歩いていて触れ違ったり追い越した人で日本人だったのはたった1人。あとはみんな外国人の人々。ただ、天候が初日が雨だったこともあり歩いている人自体が少なかったのもありますが。人間が沢山いるところが嫌いな僕たちにとっては完ぺきな人口密度。

初日は近露王子を越えて、見晴らしのいい古民家のあるところまでの16kmほどの道のりです。

滝尻から始めたのですが、最初から物凄い上り坂。登っても登っても。まだ登る。息も上がるし、汗も雨の中で噴出してくるほどの急こう配。このような道を信仰の心をもってたくさんの人たちが今まで歩いてきたのだなと思うと、信仰心とはなんとも強いなと感じずにはいられません。この道が活気を持ちはじめたの、はもののけ姫の時代ともいえあれる室町時代。それから江戸時代にも伊勢参りとならぶように人気があっただとか。ある時はこの何にもない奥にお茶屋さんがあったほどだとか。

途中でお地蔵さまがあり、その横には案内の立て札が。なんでも、熊野詣りにはるばる大分よりきた男性の霊を慰めるべく建てられたのそう。この男性は熊野古道の急な道のりに疲労困憊し、空腹も加わってここで生き途絶えたとの事。

みんなが楽しくここを歩いてお参りに行ったというわけではないようですね。それぞれの思いを胸に自分の身を危険にさらしてまでも神に聞き入れてもらいたい何かがあった人々の思いがこの道を特別なものにしたのかもしれません。

この写真でわかってもらえるかわからないんですが、かなりの急こう配なんです。今はこのように整備されていますが、昔はもっと足場が悪かったのかもしれませんよね。

その後、一旦この道はある集落へとでます。そのころには雨も止んで、木々の間や谷からどんどんと靄が立ち上がって、空へと昇っていきます。そこにある小さな集落はまるで空に浮かぶ町。見晴らしのいいところが休憩所になっていて、その前には黄金色の輝く田んぼが。日本の美しさを感じさせてくれます。

熊野古道は標識が丁寧に色々なところに立ててあるので迷うという事はありません。時に地元の人が笑いながら手を振ってくれたり、野生のシカにであったりと、面白いですよ。ただ、足元が悪かったり、雨が降ったりするのでハイキングシューズとある程度の服装をしていくことをお勧めします。

ここを後にするとまた、小雨が。

宿に着いた時には、びっしょり濡れて全身も疲労を訴えるほどに。だから、宿でのお風呂がとても気持ちが良かったこと。ハイキングって素敵な景色を見たりすることも面白いんですが、家に帰って今まで履いていた靴から解放されたり、ベッドに横になって眠れるときにも幸せを感じるですよね。この感情が時に病みつきになったりして、ハイキングがやめられないのかも。

もののけ姫の気分たっぷりの熊野古道です。

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