都会の夜

早いもので、最近のロンドンの夜や朝には秋の気配が漂っていて、しかも日を追うごとに強くなっている。そんな印象を受けます。

お盆も過ぎていない日本ではまだ夏まっ盛りの日々で秋の気配はないのでしょうけど、季節は一日置きに変わっているのですね。

開け離れた窓から入ってくるひんやりとした風がどこか少しだけ寂しさを含んでいる、夏の終わりはだからどこか物悲しいのかもしれませんね。今まで自分の手の中にあったものが、不意に気がつくと失ってしまっているそんな喪失感。

長いことロンドンに住んでいるけれど苦手なものが人混み。

自分のペースで歩くことができないし、人が多過ぎて、圧倒的な数の他人が疎ましく、まるで自分の敵であるかのように感じてしまうから。だから、歩く時もなるべく裏通りを歩くし、道路もすぐに方向が変えれるような道の端っこを歩く癖があるのかも。まるで野良猫のように。

だから、ゴミゴミ感が出る都会の喧騒や雰囲気は苦手なのかも。

だけど、都会の夜は特別だなって思います。

昼間よりも空気の密度が高くなって、深呼吸をしてもいっぱい酸素が肺にまで入ってくる気がして。

それに人工的な光が綺麗なのにどこか寂しげで、そこも好き。暗闇の中を頑張って照らしているようなそんな懸命さが。夜は昼間と違って全てを闇の中に隠そうとする、そこに一部分的に明かりを灯す光は少しだけ浮世離れしているし、現実を照らし出している気もする。

そんなあやふや感があるのも、都会の夜だと思う。

 

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