ドイツ語のマーニー

薄いグレーの水彩絵の具を白い雲に流し込んで、その雲を空中に撒いたような空が今日の北西部のドイツには広がっています。家の前のヨットの帆先にある赤い帯状の布を静かに揺らしているほどの風が外では吹き、肌に伝わる温度は冬のそれで。穏やかに暖かい僕の部屋からのその景色は心を静かにしてくれます。

隣では3つのコンピューターの画面を駆使して、ユリ君が家から仕事をこなしています。ユリ君が家で仕事をすることはあまりないのですが、今日は午後にこの近くで行かなければいけないところがあると言うので、午前中はホームオフィスで仕事をし、その後出かけるのだそう。いつもいない人が、その空間にいるのって非日常感があっていいですよね。もちろん、週末はユリ君がここにいるんですけど、仕事はしていないので。なので、今2人だけのリビングには方カタカタとキーボードを打つ音だけが、小気味に響いています。

冬や秋の良さって、ここにありますよね。心を穏やかに、静かに過ごすことに。

春はたくさんの植物や動物が長い冬を乗り越えて一気に活動するので空気がどことなく活発的で、晴れた日には外に出たいという衝動を抑えられなくなるし、夏は暑さで元気がいっぱいといった雰囲気があるでしょ?春と夏が子供時代で、秋と冬は大人時代、そんな感じが僕の中ではあるんですよね。

だから、秋と冬は僕の大人レベルが少しだけ上がる気がするし、穏やかに老後を過ごす人のような心持になってしまいます。もちろん、クリスマスやお正月などのイベントがあるのも冬ですが、そのイベントはどちらかというと家族はごく親しい人達との集まりで、暖かな家の中で起きるので、夏の砂浜や、春のお花見とはまた違った雰囲気だなって。

子供向けのものの中にも、大人が楽しめるものってありますよね?例えばディズニーだったり、ジブリだったり。けど、もう少しだけそれを深く見てみると、子供向けだけど中身は大人みたいなものがあると思うんですよね。サンテグジュペリの”星の王子様”とか、ノルウェーの高校の哲学教師であるヨースタイン・ゴルデルが少年少女に哲学の手ほどき用に書いたソフィーの世界とか。子供の時でも楽しめるけど、大人になってまた読んでみるとその奥深さに感心し、共感できる物達。

僕が、”崖の上のポニョ”を見せたことでユリ君はジブリの存在を知ったのですが、それから”ハウルの動く城”と、”もののけ姫”は見たんですよね。僕がいつも、”ジブリにこれは面白いよ。見ようよ。”って言っていたからだと思うのですが、プレゼントが。たくさんのジブリ作品が。

その中に僕の見たことのない作品が一つ。それが、”思い出のマーニー”。

プレゼントにはくれたものの、あまり一緒に観る気はないようなので一人で見ることに。もちろん、まだ見たことない”思い出のマーニー”をチョイス。

ただ僕、機械の操作とか苦手なんですよね。いつも何か変なボタンを押してしまって、ユリ君やミニの帰りを待って助けてもらうというパターンが多くて。なので今回、マーニーを見始めると音声がドイツ語だと気が付いたのですが、そのまま見ることに。

タンタンの冒険でドイツ語のリスニングをしているわけだし、1時間40分の長丁場だけど大丈夫だろうと見始めました。

ジブリの映画の好きなところは、”あー。こんなところに住んでみたいな。”とか、”この食べ物を食べたい。”とか、”こんな人と出会えたら、面白いな。”っていうと所が一つの魅力だと思うんですよね。今回は、杏奈が夏を過ごした家にどうしても住みたくなりました。杏奈の部屋からの景色とか、机の上のランプ、今のストーブ。バルコニーも家の外観も素敵だし。家の前には家庭菜園。住むならここかなって思えちゃうほどに。

後、ドイツ語がこのアニメはしっくりくるなって思ったのも一つです。もちろん、ロケーションは日本の北海道のようですが、杏奈とマーニーのドイツ語の声がよく合ってて違和感なくドイツ語で楽しめましたよ。

理解度は、思ったよりもわかるなっというのが感想でしょうか。途中で分からなかったのが、杏奈が自分の家でお母さんの貯金通帳か何かを見つけてお金が振り込まれていることにショックを受けた下り、時に出てくるお葬式(お父さんが死んだと思ってました)、マーニーと杏奈が雨の中で言い合った時の内容が上手く分からなかったんですよね。ただ、最後の方で杏奈が今まで僕がお母さんだと思っていた人を、”おばちゃん”と呼んだので、彼女が本当の母親出ないと事がわかり、その後の話からお葬式は両親のものだったという事もわかってスッキリ。マーニーと杏奈の言い合いはたぶん、”もう、さよならだわ。”みたいなことだったのではないかと考えています。

この映画、そんなに何かが起きるわけではないんですよね。穏やかに、静かに、そして画面上はいつも少しだけ肌寒さを感じるんです、それが夏のシーンでも。このアニメは大人が見るべきものなんだなって思います。日常につかれて、日々自分一人で戦っているように感じて、その孤独感と焦燥感を味わって日々を過ごす大人のアニメだと。

そして、このアニメにある様々な愛の形がまた、素敵だなって思います。愛のカタチって数限りなくありますよね。その様々な愛の形に気が付くという事って人の人生を豊かにしてくれる気がします。

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